千葉県にお住いの46歳男性(主夫)が2022年12月頃に読んだ『基礎からわかる 論文の書き方』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
『基礎からわかる 論文の書き方』を購入したきっかけ
以前小論文の添削の仕事をしていたためか、このようなタイトルの本があると気になって読みたくなってはいましたが、手に取って目次をパラパラと眺めると、別に読む必要がないものが大半でした。
しかし、「民主と愛国」という本を書いた小熊英二が書いた本ということで、目次を眺めていると、内容が濃密であることは明白でした。
また、慶応のSFCの卒論対策のアカデミック・ライティングの講座であるために、実践的であることから興味が湧き購入しました。
『基礎からわかる 論文の書き方』の概要
アカデミックな論文を書く時に必要なテクニックが満載です。
現代の社会人はリスキリングがテーマになっています。
リスキリングをする際にも、アウトプットの方法を知っておくと、色々便利です。
また、小熊英二のすぐれた調査能力で、論文について扱った書籍を古今東西にわたって渉猟して書かれていて、しかも大学生にも分かりやすいように、説明されています。
経験則で書かれた他の書籍とそこが違うところです。ビジネス用の文書にも応用が可能なところが他の本との違いです。
『基礎からわかる 論文の書き方』の基本情報
基本情報
- 出版社:講談社
- 著者:小熊 英二
- 定価:本体1,200円+税
- 発行年月:2022年05月18日
- ページ数:480ページ
- ISBN:978-4-06-528086-7
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000361477
『基礎からわかる 論文の書き方』の目次
目次
- はじめに
- 第1章 論文とは何か
- 第2章 論文と科学
- 第3章 主題と対象
- 第4章 はじめての調べ方
- 第5章 方法論(調査設計)
- 第6章 先行研究と学問体系(ディシプリン)
- 第7章 方法(メソッド)
- 第8章 研究計画書とプレゼンテーション
- 第9章 構成と文章
- 第10章 注記と要約
- 第11章 校正と仕上げ
- おわりに
『基礎からわかる 論文の書き方』のYouTube(ユーチューブ)
『基礎からわかる 論文の書き方』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。
いくつか紹介しているYouTubeチャンネルはありましたが、残念ながら内容がおすすめできるものではなくあまり参考にならなそうでした。
そのため、本ブログにて要点をまとめてお伝えできればと思います。
『基礎からわかる 論文の書き方』から学んだことの要約とまとめ
『基礎からわかる 論文の書き方』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- 文章を書く型が学べる
- 効果的な調べ方が学べる
- 効果的なアウトプットの方法が学べる
論文を書く上で大切なことが書かれています。
ひとつは、論文の書き方には型があるということ、主にハンバーガー・エッセイから始まるアメリカ型の論文指導が世界的な潮流であることが語られます。
また、論文を書く上で先行の論文の調べ方、主題の決め方やアンケートなどの調査の仕方、実際に院に進むための研究計画書の書き方やプレゼンテーション、などの方法論が語られます。
指導教官はどんな人に頼むべきかなど、細かいテクニックなども紹介されています。
文章を書く型が学べる
アメリカでエッセイの書き方を指導する場合、ハンバーガー・エッセイといって、パラグラフごとに決まった内容を連ねていくことで簡単にエッセイが書けるように工夫されています。
また、内容の主題の決定は「主題と対象」をセットで考えると、考えやすくなります。
これは調査方法を決定していくことにもつながります。
たとえば、自分の身近なものが対象である場合、その身近なもののなにに興味があるかを分解していくことで、逆算的に主題が決定されます。
効果的な調べ方が学べる
自分の主題と対象が決まったら、具体的に調査を開始します。
その時にはインターネットの論文を調べられるサイトを利用したり、とっかかりとなる書籍の注記にある論文を読んだり、図書館や百科事典などを頼りに情報を収集します。
先行研究を調べて、そのレファレンスにあたるのが望ましい調べ方です。
そして調査を行っていきます。
調査方法は、仮説検証型と仮説生成型に分かれます。
要するに、先に仮説を立てるか、調べながら仮説を作っていくかという差です。
具体的な調査方法は、探索型調査、記述型調査、比較型調査、因果型調査があり、これらを組み合わせて調査を行っていきます。
効果的なアウトプットの方法が学べる
本書の第一章から第七章まで、文章の型から「主題と対象」「方法と方法論」「先行研究の検討」を理解し、調査方法のテクニックを駆使すれば、学術的な計画書からビジネスにおける事業計画書やプレゼンテーションの内容まで作成できるようになっています。
あとは、発表の場によって資料の作成などの方法は変わってくると思います。
本書ではそこから先の、実際に論文を書く上での構成の作り方から、校正の仕方まで丁寧に指導されています。
『基礎からわかる 論文の書き方』の感想
懇切丁寧な指導を受けているという印象を読んでいて受けました。
これに沿っていくだけで、とても丁寧な文章が、学術的な場所でも、ビジネス用のプレゼンや企画書の発表でも活かせると考えます。
注を見てみると、この本の信頼度がよく分かると思います。
この一冊を書くために参考にした本の多いことにとても感心します。
また、講義形式で書かれているので、とても読みやすい文章です。
文章についてアカデミックな質で学びたい人にはお勧めです。
『基礎からわかる 論文の書き方』の評価や口コミ
他の方が『基礎からわかる 論文の書き方』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
基礎からわかる論文の書き方、読了。
修士の時に読みたかった。 pic.twitter.com/mey6vVij6V— なおちゃん研究ノート雑誌に載ったよ (@obasan_toukyo) July 19, 2022
小熊英二 (2022) 『基礎からわかる論文の書き方』講談社現代新書 #読了
今の自分の関心事に丁度当てはまるテーマで、刊行前から楽しみにしていた本。新書とは思えないボリューム感で、主題と対象の設定や方法論、レファレンスなどまでが平易な文体で説明されていて有難い。
あと2年早く読みたかった。 pic.twitter.com/91cFN1DH1N— お爺 (@hon_wo_yomitai) May 26, 2022
小熊英二『基礎からわかる 論文の書き方』(講談社現代新書)を読了。
なぜ論文を書くのか、論文とは何かといったことから、構成や主題の設定、注の付け方まで、執筆作業が概観できます。
人文系の文学などの論文が、他の分野の論文と違う点に言及されていて参考になります。
読後感はボリュームあり!— 斎木 沈香 (@Shizuka_Saiki) June 5, 2022
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
現代は、活字離れと言われていますが、文章を書く機会は、インターネットやSNS登場以前より増えています。
ブログなどを書いている人も増えているでしょう。
そのような人は、正式な文章の型を学びたいと思っているのではないかと思います。
そのような人はこの本を参考にして、文章を書けば、ライターとしても活躍できるようになります。
特に、具体的な調査方法は、学ぶ機会が少ないので、読むことをおすすめします。色々な場所に応用できます。
次に読みたいと思っている本は『相手に「伝わる」話し方』です。
子どもにも伝わる表現の仕方を学びたいです。