東京都にお住いの40歳女性(専門コンサル系)が2022年10月頃に「紙の本」で読んだ小説『カササギ殺人事件』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『カササギ殺人事件』を読もうと思ったきっかけ
海外作家の長編ミステリー小説を読みたいと思い、ネットで検索していた中で見つけた本です。
過去に「このミステリーがすごい」「本屋大賞」(ともに2019年)「翻訳ミステリー大賞」など複数の受賞歴があることと、あらすじの内容、口コミの評価の高さから興味を持ち、読み始めました。
イギリスの小説家でありアガサ・クリスティへのオマージュ作品であるということや、アメリカでドラマとして映像化されていることも、読みたいと思った理由です。
小説『カササギ殺人事件』の内容
まず構造として、小説の中に小説が組み込まれている形になっており、ある作家の編集者が語り手となり、出版前の小説原稿を読み始めるというところからスタートします。
上巻は主に作中の小説の物語で、とあるアメリカの片田舎で起きた家政婦の変死事件と、それに続く殺人事件を探偵が謎を解き明かしていくストーリーです。
下巻は上巻の小説の作者を取り巻くストーリーで、担当編集者が主人公(および語り手)となり、上巻の謎解きも含めて最後の最後で明かしていく展開です。
小説『カササギ殺人事件(上)』の作品情報
作品情報
- 出版社:東京創元社
- 著者:アンソニー・ホロヴィッツ (訳:山田蘭)
- 定価:本体1,000円+税
- 発行年月:2018年09月28日
- ページ数:360ページ
- ISBN:978-4-488-26507-6
- 言語:日本語
- 公式サイト:http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488265076
小説『カササギ殺人事件(上)』のあらすじ
1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。余命わずかな名探偵アティカス・ピュントの推理は──。
小説『カササギ殺人事件(下)』の作品情報
作品情報
- 出版社:東京創元社
- 著者:アンソニー・ホロヴィッツ (訳:山田蘭)
- 定価:本体1,000円+税
- 発行年月:2018年09月28日
- ページ数:382ページ
- ISBN:978-4-488-26508-3
- 言語:日本語
- 公式サイト:http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488265083
小説『カササギ殺人事件(下)』のあらすじ
名探偵アティカス・ピュントのシリーズ最新作『カササギ殺人事件』の原稿を結末部分まで読んだ編集者のわたしは、あまりのことに激怒する。ミステリを読んでいて、こんなに腹立たしいことってある? 原因を突きとめられず、さらに憤りを募らせるわたしを待っていたのは、予想もしない事態だった──。
小説『カササギ殺人事件』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『カササギ殺人事件』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 驚きの二重構造ミステリー!2つの物語の真実がどこにあるのか、ぜひ体験して発見してください。
- 謎解きが大好きな方に読んでほしい、2つの世界に同時に入り込める不思議な推理小説
- 頭の中が忙しい!新感覚の二重構造ミステリー!
驚きの二重構造ミステリー!2つの物語の真実がどこにあるのか、ぜひ体験して発見してください。
新感覚の二重構造となっていることがこの小説の一番の特徴であり、読みどころです。
片田舎で起きた家政婦の変死事件と、それに続く死亡事件を解いていく中で見えてくる田舎の人間関係、登場人物それぞれの思いや大切なものが何なのか、事件の謎だけでなく気になるところがたくさんあり、いろんなことを考えながら没頭して読んでしまう小説です。
え、誰なの?と思ったところで終わる上巻から、全く登場人物が切り替わる下巻、読みながらどう終わるのかも気になってしまいます。
謎解きが大好きな方に読んでほしい、2つの世界に同時に入り込める不思議な推理小説
登場人物が多く、善人なのか悪人なのか、何を何のために隠しているのか、という疑問が次々に出てきますが、読み進めていくうちにその謎や心理が少しずつ明らかになっていきます。
登場人物の描き方がリアルで、こうゆう人現実にもいるなーなどと思いながら田舎の人間関係を想像し、その暮らしや気持ちを感じ、最後には登場人物たちに愛着が出てきます。
怪しかった人物の怪しかった行動が本線とは関係がなかった!という細かい伏線の回収も楽しい小説です。
頭の中が忙しい!新感覚の二重構造ミステリー!
複数の人の死が出てくる小説です。
自分に残された時間をどう生きるか考えながら過ごす人、突然命を落とすことになった人、命を落とす寸前で助けられなんとか生き延びることができた人、人の人生に限りがあることを、編集者スーザンの最後の決断からも伝えているように思いました。
また、年齢、生い立ち、国籍もいろんな状況の人物が出てきて、奥深い人間関係が描かれているなと思います。
夫婦関係、家族関係、同じ街の中の人付き合いなど、フィクションの物語の中にもリアルな部分が描かれていて、作品の世界に入り込むことができます。
小説『カササギ殺人事件』を読み終わった感想
作中作品がほぼ1冊分の物語として描かれているのですが、それもこの作品全体の一部であるため、長編映画を見終わった時のような充実感と心地よい頭の疲れを感じました。
上巻で作中小説を読んだ後に、下巻でその編集者のストーリーになるので、下巻の世界が現実のようにリアルに感じられる錯覚が面白いです。
実際には、どちらも小説のフィクションの世界なのですが、下巻の主人公である編集者のスーザンにとても親近感がわきます。
また、登場人物の国籍や生い立ちが様々に描かれており、その部分にも海外小説ならではの面白さを感じました。
小説『カササギ殺人事件』で印象に残った名言
私が小説『カササギ殺人事件』を読んで特に印象に残った名言です。
「スーザン・ライランド」のセリフ
この本は、わたしの人生を変えた。
小説『カササギ殺人事件』の評価や口コミ
他の方が小説『カササギ殺人事件』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
『カササギ殺人事件 上下』アンソニー・ホロヴィッツ
その夜、編集者は原稿を読み始めた
その話は家政婦の葬儀から始まる、各国で愛されるシリーズの第9作目『カササギ殺人事件』
余命僅かな探偵が手掛ける最後の事件だった上巻から下巻の流れに思わず唸る
ほぼ無情報で読めた僥倖に感謝#読了 pic.twitter.com/jVqxFbxFH1— きらた (@55HHVCW7xuGbcum) February 25, 2023
「カササギ殺人事件(上下)」アンソニー・ホロヴィッツ #読了
予想外の展開で面白かった。前情報無しで読んだ方がいいやつ。感想言えないやつ。 pic.twitter.com/QfM97HwqoB— 未有 (@awake2525) February 18, 2023
『カササギ殺人事件』読了〜
上巻から下巻に入ったとき「え???」ってった💦
単純にこの構造考えた人すごいって思うわ〜🙌
— ぼーん (@poTagbDoU3NnrFy) February 15, 2023
おわりに
私が小説『カササギ殺人事件』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『メインテーマは殺人』です。
葬儀を手配した人物がその日に絞殺されるところから始まる物語であり、作者のアンソニー・ホロヴィッツが語り手の小説です。